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地球環境問題と人類存続に関するアンケート 調査報告

 本報告書は、当財団が1992年より実施している「地球環境問題と人類の存続に関するアンケート」の2026年調査結果をとりまとめたものです。本年も、環境問題の有識者による現状認識をより多くの方々にお伝えすべく、ここにご報告申し上げます。

 2026年の環境アンケートは、例年通り4月から6月に実施されました。この1年を振り返ると、ロシアによるウクライナ侵攻は長期化し、中東でも不安定な情勢が続いています。また米国では、第2次トランプ政権のもと「米国第一」の政策が進められ、2026年1月には「パリ協定」から再び離脱しました。 一方、世界各地では記録的な高温や豪雨、干ばつなどが相次ぎ、気候変動への対応は一層重要な課題となっています。こうした国際情勢のもとで行われた本年のアンケートには、世界各地から1,464件ものご回答をいただきました。

 今年の環境危機時計の時刻は9時39分となり、昨年より6分進みました。2021年から2024年にかけて4年連続で針が戻っていましたが、2025年に6分進み、2026年もさらに6分進む結果となりました。その内訳を見ると、危機意識の変化は地域によって大きく異なり、世界全体が同じ方向に変化したわけではありません。

 また、本年は国・地域別の回答者構成が前年から大きく変化しています。特に中国・台湾からの回答が大幅に減少し、韓国からの回答が増加しました。このため、前年からの6分の変化については、回答者構成の変化による影響も含まれ得ることに留意が必要です。詳細は「調査の概要」に記載しています。

 さらに、昨年に引き続き、「生活者の環境危機意識調査」として、日本国内の一般生活者を対象とした調査も実施いたしました。結果は当財団のウェブサイトにて公開いたしますので、世界の有識者を対象とした本アンケートとあわせて、ぜひご覧ください。

 今回も、多くの方々からご回答とともに、有意義なご意見やコメントを多数お寄せいただきました。各国の回答者から寄せられたコメントは多数に上るため、すべてではありませんが、本年も当財団のウェブサイトにて掲載いたします。
環境問題に関する有識者の生の声を、ぜひご参照ください。

 私たちは、本環境アンケートを通じて、環境問題に関わる方々のみならず、より多くの人々に環境への関心を深めていただき、地球環境問題の解決に向けてささやかながら貢献できることを願っております。今後とも、皆様からの貴重なご助言・ご指導を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

2026年9月
公益財団法人 旭硝子財団

1 調査の概要

調査時期2026年4月から6月
調査対象 世界各国の政府・自治体、NGO/NPO、大学・研究機関、企業、マス・メディア、民間等の環境問題に関する有識者
(旭硝子財団保有データベースに基づく)
送付数約45,000(海外 約42,500 国内 約2,500)
回収数1,464
回収率約3.3%
表1 属性別の回収結果

※本報告書における分析の百分率のベースは、特に説明がない限り、単一回答の設問については回収票数、複数回答の設問については有効回答の延べ回答件数を使用している。

※数値は小数点第1位もしくは第2位を四捨五入してある。

※延べ回答件数ベース:回収票数ではなく、その質問に対してなされた回答の延べ件数を基数とする。

※本年は調査実施体制を見直す中で、中国および台湾について従来と同様の調査を実施していない。このため、前年からの平均値の変化については、危機意識そのものの変化だけでなく、回答者構成の変化による影響も含まれ得ることから、その解釈には留意が必要である。

2 調査結果の概要

2.1 人類存続の危機に関する認識̶環境危機時計


 自分が住む国または地域における環境問題を考える上で重要な“地球環境の変化を示す項目”を3つ選んで順位付けをし、それぞれについての危機意識を時刻で表現してもらった。
  • 環境危機時計の時刻は昨年より6分進み、9時39分になった。2021年から2024年まで4年連続で針が戻っていたが、2025年に6分進み、2026年もさらに6分進んだ。ただし、本年は国・地域別の回答者構成が前年から変化しているため、前年からの6分の変化については、回答者構成の変化による影響も含まれ得ることに留意が必要である。また、その内訳を見ると、危機意識の変化は地域によって大きく異なっている。
  • 調査した地域別にみると、アジア、メキシコ・中米・カリブ諸国、南米、アフリカ、中東、東欧・旧ソ連と多くの地域で針が進んだ。特にメキシコ・中米・カリブ諸国では20分、アフリカでは52分、東欧・旧ソ連では27分と大きく針が進んだ。一方、オセアニア、北米、西欧では、17~25分と大きく針が戻った。
  • 日本の環境危機時計の時刻は9 時30分となり昨年に比べ針が9分戻った。
  • 世界全体の環境危機時計の時刻を決定する際に、重要な項目として選ばれた「地球環境の変化を示す項目」は、昨年と同様に「気候変動(33%)」、「生物圏保全性(生物多様性)(16%)」、「社会、経済と環境、政策、施策(13%)」が上位3項目であった。
  • 「地球環境の変化を示す項目」の時刻を針が進んでいる順にすると、「生物圏保全性(生物多様性)」(9時52分)、「気候変動」(9時45分)、「社会、経済と環境、政策、施策」(9時42分)が世界平均(9時39分)よりも進んでいる。

2.2 「気候変動」と「生物多様性の喪失」の問題に関する認識


 地球環境問題の中で、「気候変動問題」と「生物多様性の喪失」の問題には特に大きな関心が集まっている。「一般の人々の意識」、「政策・法制度」、「社会基盤(資金・人材・技術・設備)」の3つの観点から、地球温暖化抑制のための「脱炭素社会への転換」と「野生生物の生息地の保全・再生」の自国内での進捗の認識について尋ねた。

  • 脱炭素社会への転換について、2026 年はいずれの観点でも2024 年、2025 年を下回るとともに、「政策・法制度」や「社会基盤」は、「一般の人々の意識」よりも進んでいない。
  • 野生生物の生息地の保全・再生について、いずれの観点でも進んでいると考える人は少なく、脱炭素社会への転換に比べても遅れていると考えられている。

2.3 持続可能な開発目標(SDGs)に関する認識


 17 ある SDGs について、自分の住む国・地域で2030年に達成度が高いまたは低いと思う目標について尋ねた。

  • 2030年に達成度が高いと思う目標として、「達成度が高いと思うものはない(25%)」、「9.産業と技術革新の基盤をつくろう(24%)」、「4.質の高い教育をみんなに(23%)」が多く選ばれた。
  • 2030年に達成度が低いと思う目標として、「1.貧困をなくそう(35%)」、「10.人や国の不平等をなくそう(31%)」、「13.気候変動に具体的な対策を(31%)」、「16.平和と公正をすべての人に(29%)」が多く選ばれた。

2.4 持続可能な開発目標(SDGs)全体での感覚的な達成度に関する認識


 2030年までの目標達成に向けて、17あるSDGsが、全体として現時点でどの程度達成できていると思うかを尋ねた。

  • 自国または地域を念頭においた場合の達成率は、年代別の平均値では世界を念頭においた場合よりも高い。ただし、その傾向には国・地域による違いがみられ、日本や西欧では自国・地域の達成率を世界より高く評価する一方、米国では自国の達成率を世界より低く評価している。
  • 達成度を0%とした割合も10%以上となっているが、75%以上とした割合は非常に少ない。
  • 20~40代の回答者は、50代以上の回答者に比較してSDGsの達成度が自国または地域、世界ともに高いと感じており、年代による達成度の感じ方に大きな違いがある。

2.5 地球環境問題を解決するために重要な要素


 地球環境問題を解決するためにどの要素が特に重要であると思うかを尋ねた。

  • 地域、組織、年代に関わらず、「政府の環境政策・リーダーシップ」と回答した人の割合が最も多かった。
  • 国際協力・グローバルガバナンスも、多くの地域で40~50%の回答者が選んだ。
  • 特徴ある地域の回答として、オセアニア、北米、中東は再生可能エネルギー・インフラ転換、メキシコ・中米・カリブ諸国、西欧、東欧・旧ソ連は経済制度改革・市場メカニズムが多かった。
  • 技術革新は多くの地域で回答が少ない傾向があった。自由記述では、技術革新の重要性を認めつつも、ガバナンスや政策の実行、社会・経済構造の変革、共通の将来ビジョンなど、技術革新以外の要素を重視する指摘が複数みられた。また、既存技術が十分に活用されていないとの指摘もあった。

3 調査結果

3.1 人類存続の危機に関する認識 — 環境危機時計

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問1 表5は“地球環境の変化を示す項目”です。地球全体の問題を念頭に置きながら、あなたがお住まいの国または地域における環境問題を考える上で重要な項目を3つ選んで1位~3位の順位付けをし、それぞれ時計の針に例えて0:10~12:00の範囲で○○時○○分と答えてください。時刻は便宜上、10分単位でご記入ください。

※環境危機時計の時刻の決定法について
 1位から3位の時刻の加重平均(1位:50%、2位:30%、3位:20%)として環境危機時計の時刻を決定します。
 有効な回答が、1位と2位だけの場合は1位:62.5%、2位:37.5%。1位だけの場合は100%としています。

図1 環境危機時計の時刻

3.1.1 世界の環境危機時計の時刻

表2 1992年からの環境危機時計の時刻の推移(世界)

図2 世界と日本の環境危機時計の時刻の推移
  • 世界の環境危機時計の時刻は、2025年に前年から6分進み、2026年もさらに6分進んだ。
  • 日本の環境危機時計の時刻は9時30分となり、2025年に比べ9分戻った。

図3-1 世界各地域と日本の環境危機時計の時刻

表3 地域別の環境危機時計の時刻の推移

 図3-2に表3に示した地域・国の中から回答者の多いものを抜粋して、過去10年の環境危機時計の時刻の推移を示す。ここで、中国と台湾は回答者数の減少により2026年のデータを示していない。


図3-2 回答者数の多い国・地域の環境危機時計の時刻の推移
  • 世界の専門家・有識者の平均値では環境危機への危機感が前年より高まる結果となったが、地域ごとに異なる動きがみられ、世界全体が同じ方向に変化したのではない。なお、本年は国・地域別の回答者構成が前年までと異なっているため、世界平均の前年からの変化については、回答者構成の変化による影響も含まれ得ることに留意が必要である。
  • 地域別に見ると、アジア、メキシコ・中米・カリブ諸国、南米、アフリカ、中東、東欧・旧ソ連と多くの地域で針が進んだ。特にメキシコ・中米・カリブ諸国では20分、アフリカでは52分、東欧・旧ソ連では27分と大きく針が進み、東欧・旧ソ連では10時台となった。
  • オセアニア、北米、西欧では、17~25分と大きく針が戻ったものの、いずれも引き続き10時台であった。一方、問6の自由記述では、ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢をはじめとする軍事的緊張について多くの言及があった。また、戦争や紛争の長期化が環境保全に向けた国際協力や政策対応を停滞させ、各国が環境対策よりも軍事・安全保障を優先せざるを得ない状況を招いているとの意見がみられた。
  • このほか、気候変動、生物多様性の喪失、資源問題など、複数の環境問題が相互に関連しており、個別に取り組むことは難しいとの意見もみられた。
表4 環境危機時計の時刻の世代別推移
図4 世代別の環境危機時計の時刻の推移
  • 年代が上がるほど、より進んだ時刻(危機感が高い)を示す傾向がみられる。一方、経年変化をみると、20代、30代、40代、50代では2024年以降、環境危機時計の針が進んでおり、危機感が高まっていることを示している。

3.1.2 地球環境の変化を示す項目

表5 地球環境の変化を示す項目

表5に示すSDGs との関連について、各目標のアイコンを図5に示す。

図5 持続可能な開発目標 (SDGs)

3.1.2.1  環境問題を考えるうえで重要な「地球環境の変化を示す項目」の分布(上位3項目)

図6-1 重要な「地球環境の変化を示す項目」の分布(上位3 項目)(環境危機時計の時刻と選択率), 2026年
  • 世界全体の環境危機時計の時刻を決定する際に、重要な項目として選ばれた「地球環境の変化を示す項目」は、昨年と同様に「気候変動」(33%)、「生物圏保全性(生物多様性)」(16%)、「社会、経済と環境、政策、施策」(13%)が上位3項目であり、これに「水資源」(8%)、「生物化学フロー(環境汚染)」(7%)、「陸域系の変化(土地利用)」(6%)、「ライフスタイル(消費性向)」(6%)、「人口」(5%)、「食糧」(5%)、と続いた。各項目の占める割合は昨年からほとんど変わっていない。
  • 同じく世界全体の「地球環境の変化を示す項目」を環境危機時計の時刻が進んでいる順に並べると、「生物圏保全性(生物多様性)」(9時52分)、「気候変動」(9時45分)、「社会、経済と環境、政策、施策」(9時42分)が世界平均(9時39分)よりも進んでいる。「食糧」(9時01分)は昨年よりも22分針が戻った。

図6-2 重要な「地球環境の変化を示す項目」の分布(上位3項目)(環境危機時計の時刻と選択率), 2025年

図6-3 重要な「地球環境の変化を示す項目」の分布(上位3 項目)(環境危機時計の時刻と選択率), 2024年

3.1.2.2 各地域の地球環境の変化を示す項目の選択傾向

表6 各地域の地球環境の変化を示す項目の選択傾向
  • 大半の国と地域で重要な「地球環境の変化を示す項目」として「気候変動」(33%)が最も多く選ばれた。次いで、「生物圏保全性(生物多様性)」(16%)が、多くの地域で選ばれている。
  • 一方、日本、米国では、「社会、経済と環境、政策、施策」が2番目に選ばれた。
  • 地域別の特徴として、中東では昨年に引き続き「水資源」が最も多く選ばれた。また、オセアニア(豪以外)では「生物圏保全性(生物多様性)」が最も多く選ばれた。

3.1.2.3 地球環境の変化を示す項目の環境危機時計の時刻の地域分布

表7 地球環境の変化を示す項目の環境危機時計の時刻の地域分布
  • 11時以降を示す項目は、オーストラリアの「気候変動」と「生物圏保全性(生物多様性)」、カナダの「ライフスタイル」である。
  • 10時台を示す項目は、オセアニア、北米、西欧、東欧・旧ソ連で多く、「気候変動」、「生物圏保全性(生物多様性)」、「社会、経済と環境、政策、施策」以外にも、「陸域系の変化」、「生物化学フロー(環境汚染)」、「人口」、「ライフスタイル」などがある。また、インドの「水資源」、南米やアフリカの「陸域系の変化」も10時台を示した。
  • 8時以前の項目は、インドの「社会、経済と環境、政策、施策」、米国の「人口」、南米の「水資源」であった。

3.2 「気候変動」と「生物多様性の喪失」の問題に関する認識

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問2 地球環境問題の中で、「気候変動」と「生物多様性の喪失」の問題には特に大きな関心が集まっており、どちらも解決を急ぐ必要があります。これらの問題についてのあなたの現状認識を伺います。

 「一般の人々の意識」、「政策・法制度」、「社会基盤(資金・人材・技術・設備)」の3つの観点から、地球温暖化抑制のための「脱炭素社会への転換」と「野生生物の生息地の保全・再生」の自国内での進捗の認識について質問した。
 スコアは、「全く進んでいない」を-2、「どちらかといえば進んでいない」を-1、「どちらともいえない」を0、「どちらかといえば進んでいる」を+1、「確実に進んでいる」を+2として、各回答に数値を割り当て、平均値を算出した。

問2-1 地球温暖化への取り組みを促進するため、2015年にパリ協定が採択されました。
2015年以前と比較して、以下の3つの観点からお答えください。
あなたの住んでいる国・地域で脱炭素社会への転換は進んでいると思いますか。


 全世界の平均値と地域・国ごとの平均値を表8に示す。世界平均は下記の通りとなった。
  • 一般の人々の意識+0.68
  • 政策、法制度+0.37
  • 社会基盤(資金・人材・技術・設備)+0.28

  • 脱炭素社会への転換について、2026年はいずれの観点でも2024年、2025年を下回った。
  • 「政策・法制度」や「社会基盤」の面は、「一般の人々の意識」ほど進んでいないという結果となった。
  • アジアの中では、日本はいずれの項目も他国・地域と比較して低い水準で推移している。特に「一般の人々の意識」と「政策・法制度」は、緩やかな低下傾向がみられる。一方、韓国では2026年にいずれの項目も前年より高くなった。
  • 国や地域により「一般の人々の意識」と「政策・法制度」の進み具合のとらえ方に差がみられた。韓国はじめアジアでは、両者のポイントの差は比較的小さい。メキシコ・中米・カリブ海諸国や、南米、アフリカ、中東でも同様の傾向である。これに対し、オセアニア、北米、西欧では両者の差が大きく、「政策・法制度」が「一般の人々の意識」よりも大きく遅れているという結果となっている。上記の傾向はここ5年間変わっていない。
  • 特に米国で、「政策・法制度」が2024年の0.53から2025年に-0.31、2026年には-0.76へと2年連続で低下した。
  • 所属組織別に見ると、企業の回答者は、2025年から2026年にかけていずれの項目も顕著に低下した。
  • 世代別に見ると、20代、30代の若い世代は、他の世代に比べて「一般の人々の意識」、「政策・法制度」、「社会基盤」のすべての面で脱炭素社会への転換が進んでいると認識している。
表8 「脱炭素社会への転換の進み具合」に関する世界平均と地域、属性別平均


問2-2 生物多様性が失われるのを抑えるため、愛知目標の後継となる世界目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が2022年に採択されました。2022年以前と比較して、以下の3つの観点からお答えください。
あなたの住んでいる国・地域で野生生物の生息地の保全・再生は進んでいると思いますか。


 問2-2について、「一般の人々の意識」、「政策・法制度」、「社会基盤」の3つの観点から問2-1と同様に分析した。全世界の平均値と地域・国ごとの平均値を表9に示す。世界平均は下記の通りとなった。
  • 一般の人々の意識+0.28
  • 政策、法制度+0.19
  • 社会基盤(資金・人材・技術・設備)±0.00

  • 世界全体で、「野生生物の生息地の保全・再生の進み具合」はどの観点でもポイントは0.3以下で、「気候変動」への対応に比べてすべての観点でポイントが低い。また、どの観点でも2025年よりもポイントが低下した。
  • 3つの観点の中では、「社会基盤」のポイントが「一般の人々の意識」、「政策・法制度」よりも低かった。
  • 日本では、2024年以降、3 つの観点ともマイナスのポイントとなっており、野生生物の生息地の保全・再生は進んでいないと考える回答者が多い。
  • 米国では、「政策・法制度」のポイントが2024年の0.34から2025年に-0.49、2026年には-0.56となった。
  • 大学・研究機関、NGO/NPO の回答者は、「社会基盤」の観点でマイナスのポイントとなっている。
  • 企業の回答者は、2025年から2026年にかけて、すべての観点でポイントが低下した。
  • 20代、30代では、3つの観点すべてでポイントがプラスとなり、他の世代よりも高かったが、40代以上の回答者は「社会基盤」の観点でマイナスのポイントとなっている。
表9 「野生動物の生息地の保全・再生の進み具合」に関する世界平均と地域、属性別平均

3.3 持続可能な開発目標(SDGs)の達成度に関する認識

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問3-1  あなたがお住まいの国または地域で、17ある目標の中で2030年に達成度が高いと思う目標を3つ選び、高いものから順に1位、2位、3位を、目標の番号でお答えください。

達成度が高いと思う目標として1位、2位、3位に選んだ回答者の割合(%)を表10に示す。
表10 お住まいの国・地域で2030年に達成度が高いと思う目標
  • 自分の住む国・地域で2030年に達成度が高いと思う目標を選ぶ質問に対して、「達成度が高いと思うものはない(25%)」、「9.産業と技術革新の基盤をつくろう(24%)」、「4.質の高い教育をみんなに(23%)」が多く選ばれた。
  • 2025年に初めて「達成度が高いと思うものはない」が最も多く選ばれ、2026年も引き続き最多となった。なかでも、日本、オセアニア(豪以外)、メキシコ・中米・カリブ諸国、南米、英国では3分の1以上の回答者が選んだ。
  • インド、オセアニア、西欧、中東では「7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに」が最も多かった。またインドでは「13.気候変動に具体的な対策を」も2番目に多く選ばれた。
  • 「4.質の高い教育をみんなに(23%)」を多く選んだのは、日本と韓国では2番目、西欧では同率最多、アフリカでは最多、中東では3番目に多く選ばれた。

問3-2  あなたがお住まいの国または地域で、17ある目標の中で2030年に達成度が低いと思うものを3つ選び、低いものから順に1位、2位、3位を、目標の番号でお答えください。

達成度が低いと思う目標として1位、2位、3位に選んだ回答者の割合(%)を表11に示す。
表11 お住まいの国・地域で2030年に達成度が低いと思う目標
  • 自分の住む国・地域で2030年に達成度が低いと思う目標として、「1.貧困をなくそう(35%)」、「10.人や国の不平等をなくそう(31%)」、「13.気候変動に具体的な対策を(31%)」の3つを選んだ回答者が多く、「16.平和と公正をすべての人に(29%)」を選んだ回答者も多かった。これら4つの目標は、継続的に達成度が低い目標として選ばれている。
  • 「2.飢餓をゼロに」は、オーストラリア、カナダ、南米、アフリカで30%を超えた。
  • 「12.つくる責任つかう責任」を2030年に達成度が低いと思う目標として選んだ回答者が、特にアジア(日印韓以外)、オセアニア、東欧・旧ソ連に多い。
  • 「13.気候変動に具体的な対策を」は、日本、北米、西欧(UK以外)、中東において、3分の1を超える回答者が達成度が低いと思う目標として選んだ。
  • 日本では、「1.貧困をなくそう」と並んで「16.平和と公正をすべての人に」の達成度が低い目標として選ばれた。

3.4 持続可能な開発目標(SDGs)の全体での感覚的な達成度に関する認識

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問4  2030年までの目標達成に向けて、17あるSDGsが、全体として現時点でどの程度達成できていると思いますか。
問4-1 世界を念頭に置いて、全目標達成を100%として、5~100の数字でお答えください。便宜上、数字は5%刻みの値でご記入ください。
問4-2 あなたがお住まいの国または地域を念頭に置いて、全目標達成を100%として、5~100の数字でお答えください。便宜上、数字は5%刻みの値でご記入ください。

図7 に回答者1,464人の感覚的なSDGsの達成度(%)の分布を、図8に年代別の達成度(%)を示す。
図7 2026年時点での感覚的なSDGsの達成度(%)の回答分布

図8 年代別の感覚的なSDGsの達成度(%)
  • 年代別に見ると、自国または地域を念頭においた場合の達成率は、いずれの年代でも世界を念頭においた場合よりも高い。ただし、その傾向には国・地域による違いがみられ、日本や西欧では自国・地域の達成率を世界より高く評価する一方、米国では自国の達成率を世界より低く評価している(データ集より)。
  • SDGsの達成度を0%と回答した割合は、自国・地域、世界のいずれについても10%以上である一方、75%以上と回答した割合は非常に少ない。
  • 20~40代の回答者は、50代以上の回答者に比べて、自国または地域、世界のいずれについてもSDGsの達成度を高く認識している。

3.5 環境問題を解決するために重要な要素

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問5  地球環境問題を解決するために、あなたが特に重要だと考えるのはどの要素ですか。次の中から最大3つ選びご回答ください。


地球環境問題を解決するために、特に重要なのはどの要素かという質問の回答として選んだ項目の割合を地域別にまとめた結果を図9-1に示す。
図9-1 地球環境問題を解決するために特に重要だと考える要素(地域別)
  • どの地域でも、「政府の環境政策・リーダーシップ」と回答した人の割合が最も多く、60~79%に達する。2025年の問5「環境問題を解決するために最も重要なのは誰の行動」でも、どの地域でも「中央政府」と回答した人の割合が多かった。
  • 「国際協力・グローバルガバナンス」も、多くの地域で40~50%の回答者が選んだ。
  • 特徴ある地域の回答として、オセアニア、北米、中東は「再生可能エネルギー・インフラ転換」、メキシコ・中米・カリブ諸国、西欧、東欧・旧ソ連は「経済制度改革・市場メカニズム」が多かった。
  • 一方、「技術革新」は多くの地域で回答が少ない傾向がみられた。自由記述では、技術革新の重要性を認めつつも、ガバナンスや政策の実行、社会・経済構造の変革、共通の将来ビジョンなど、技術革新以外の要素を重視する指摘が複数みられた。また、既存技術が十分に活用されていないとの指摘もあった。
  • アフリカでは、「教育・啓発」と回答した割合が56%と高く、メキシコ・中米・カリブ諸国(46%)や中東(48%)でも高い割合を示した。
地球環境問題を解決するために、特に重要なのはどの要素かという質問の回答として選んだ項目の割合を所属組織別にまとめた結果を図9-2に示す。

図9-2 地球環境問題を解決するために特に重要だと考える要素(所属組織別)
  • 所属組織によらず、「政府の環境政策・リーダーシップ」と回答した人の割合が最も多かった。
  • 企業やジャーナリズムの回答者は、「経済制度改革・市場メカニズム」をそれぞれ47%、56%が選んだ。一方、企業の回答者で「企業の環境責任・ESG経営」を選んだのは33%、ジャーナリズムの回答者で「メディア・情報の質と信頼性」を選んだのは38%であった。
  • 大学・研究機関の回答者で、技術革新を選んだのは22%であった。


地球環境問題を解決するために、特に重要なのはどの要素かという質問の回答として選んだ項目の割合を回答者の年代別にまとめた結果を図9-3に示す。


図9-3 地球環境問題を解決するために特に重要だと考える要素(回答者の年代別)
  • いずれの年代も、「政府の環境政策・リーダーシップ」、「国際協力・グローバルガバナンス」、「経済制度改革・市場メカニズム」の順に回答割合が高かった。
  • 20代・30代は、他の世代と比べて、「技術革新」と回答した割合が低く、「再生可能エネルギー・インフラ転換」と回答した割合が高かった。

4 おわりに

 世界の「環境危機時計」の時刻は、2020年の9時47分から2024年の9時27分まで4年連続で合計20分戻っていたが、2025年には8年ぶりに針が進み9時33分となった。今回、2026年のアンケートではさらに6分進み9時39分となった。その内訳を見ると、危機意識の変化は地域によって大きく異なり、世界全体が同じ方向に変化したわけではない。また、本年は国・地域別の回答者構成が前年から大きく変化している。特に中国・台湾からの回答が大幅に減少し、韓国からの回答が増加した。このため、前年からの6分の変化については、回答者構成の変化による影響も含まれ得ることに留意が必要である。

 問1で、「環境危機時計」の時刻を決定する際に選択される「地球環境の変化を示す項目」は、昨年と同様に「気候変動」(33%)、「生物圏保全性(生物多様性)」(16%)、「社会、経済と環境、政策、施策」(13%)が上位3項目であった。

 問2では、特に関心の高い「気候変動」と「生物多様性の喪失」について、「一般の人々の意識」「政策・法制度」「社会基盤」の3つの観点から調査を行った。「気候変動」への対応として尋ねた「脱炭素社会への転換」については、2026年はいずれの観点でも2024年、2025年を下回り、「政策・法制度」や「社会基盤」は、「一般の人々の意識」よりも低い結果となった。米国で、「政策・法制度」が2024年から2026年にかけて顕著に低下した。

 問2-2では、自国・地域における「野生生物の生息地の保全・再生」について、「脱炭素社会への転換」に比べて、すべての観点でポイントが低かった。また、いずれの観点でも2025年よりもポイントが低下した。

 問3では、持続可能な開発目標(SDGs)に関する認識を調査した。自国における2030年時点での達成度について、「達成度が高いと思うものはない」を選んだ人が昨年に続き最多となった。達成度が低いと思う目標は、「貧困をなくそう」、「人や国の不平等をなくそう」、「気候変動に具体的な対策を」、「平和と公正をすべての人に」が継続的に選ばれている。

 問4では、SDGsの達成度について2026年時点での実感を尋ねた。20~40代の回答者は、50代以上の回答者に比較して、自国または地域、世界のいずれについてもSDGsの達成度を高く認識している。

 問5では、地球環境問題を解決するために重要な要素を尋ねた。地域、組織、年代に関わらず、「政府の環境政策・リーダーシップ」と回答した人の割合が最も多かった。2025年の調査でも、問5「環境問題を解決するために最も重要なのは誰の行動」で、「中央政府」と回答した人の割合が高かった。

 最後に、本年もアンケート実施直前の1年間における、環境に関する世界の主な出来事をまとめた年表を参考資料として作成した。報告書の理解にお役立ていただければ幸いである。
番号 項目 あなたがお住まいの国または地域で観察されること(例) プラネタリー・
バウンダリーズ(PB)
関連するSDGs(持続可能な開発目標)
1 気候変動 大気中CO2濃度や地球温暖化、海洋酸性度の増加
旱ばつ、大雨・洪水、暴風雨、大雪、異常低温・高温、河川・湖沼の干上がり、砂漠化などの悪化(増加、頻発化、巨大化)
気候変動、
海洋の酸性化、
大気煙霧質、
オゾン減少
2 生物圏保全性(生物多様性) 絶滅する生物種(見かけなくなった生物)の増加、(汚染、気候変動、土地利用等も関連) 遺伝子多様性、
機能性の多様性
3 陸域系の変化(土地利用) 特に熱帯、温帯、亜寒帯の生物圏の森林領域面積の変化
耕作域面積の変化
陸域系の変化
4 生物化学フロー(環境汚染) 過剰な窒素やリン分による富栄養化や化学物質やマイクロプラスチックスなどによる河川・海洋・土壌汚染の増加
浮遊物質や煤、化学物質による大気汚染の増加
化学物質による汚染、
窒素とリンの循環
5 水資源 枯渇や汚染による利用可能な淡水の減少
グリーンウォーター(土壌に含まれる植物が利用する水)の管理や質の低下
淡水
6 人口 地域や国全体の人口増加
国全体の人口増減とは無関係な都市人口の増加
ほぼ全てのPBの領域に関連
7 食糧 陸や海の食糧資源の減少 ほぼ全てのPBの領域に関連
8 ライフスタイル(消費性向) エネルギー・資源多消費型ライフスタイルからの転換 ほぼ全てのPBの領域に関連
9 社会、経済と環境、政策、施策 環境経済、環境会計を柱とするグリーンエコノミーの実現
環境問題に対する認識や環境教育の進展、法制度、社会基盤
貧困問題の解決、ガバナンス、女性の社会的地位
ほぼ全てのPBの領域に関連
プラネタリー・バウンダリーズ:Will Steffen, Katherine Richardson, Johan Rockstrom et.al. Science 13 Feb 2015 vol. 347, issue 6223

2026年 アンケート自由記述ご意見

注)以下に掲載の記述回答文の内容は、回答者個人のご意見で有り、財団の見解を代表するものではありません。
また回答には氏名(敬称略)、国名、事務局番号を明記して、匿名希望者は匿名として表記しております。
表中のご意見は、一部抜粋となっているものもあります。

2026年 SDGsに関するご意見

注)以下に掲載の記述回答文の内容は、回答者個人のご意見で有り、財団の見解を代表するものではありません。
また回答には氏名(敬称略)、国名、事務局番号を明記して、匿名希望者は匿名として表記しております。
表中のご意見は、一部抜粋となっているものもあります。

2026年 地球環境の変化を示す項目(第1 ~ 3位選択)の分布(項目ごとの危機時刻と支持率)

2026年 環境問題への取り組みの改善の兆しに関する認識